相続財産として申告書に載せる現金。
どれぐらいの金額を載せることが適正なのでしょうか。
そもそも相続財産となる現金とは
相続財産となる現金の金額は、被相続人(お亡くなりになった方)がお亡くなりになったときに、被相続人の財布に入っていた金額や、自宅に現金として保管されていた金額などになります。
それらの金額を相続人に数えてもらい、提示された金額を相続財産である現金として計上することが多いです。
また、相続開始後に使用してしまい、正確な金額が分からないことも多いので、実務上は、被相続人の生活スタイルから、現金として手元に持っていたと思われる金額を、だいたいの金額で申告書に載せることもあります。
状況によって変わるので、数万円の家庭もあれば、数十万円の家庭もあります。
被相続人が日常生活で使っている現金の話しなので、相続人も1円単位で把握することは困難でしょうし、税務署も、手元に保管されていた現金を1円単位で正確に把握することは困難です。
なので、申告書に生活レベルに合わせた現金が、おおよその金額でも計上されているという状況が重要です。
家探しすると出てくることも
相続が起こった後、相続税申告の準備をする中で、家の中から現金が出てくることも実際あります。
預金で預けていると税務署にバレるからと、預金を引き出し、現金として自宅に保管されている方も多いようです。いわゆる「タンス預金」というものですね。
その名の通り、タンスから出てくることもあるのですが、金庫に保管されている場合もあります。
ここかなと目星がつきやすければいいのですが、屋根裏や洋服と洋服の間、本やファイルの中など、保管している現金が見つかりづらいことも多々あります。
申告書の作成段階で見つけた被相続人の現金はしっかり申告書に載せる必要があります。
しかし、稀に、相続税の申告書を提出した後、相続税の申告期限後のふとした瞬間、追加で現金が見つかることがあります。
その時は、相続税の修正申告を早めに行う必要があります。
税務調査で現金の計上漏れはバレるのか
相続税の申告について税務調査があった場合、現金の計上漏れは発覚しやすいのでしょうか。
これもまた、ご家庭によってケースバイケースだと思います。
通帳に履歴が残る預貯金の動きに比べて、日々の生活で使用されている現金の動きを正確に追うことは困難です。
おそらくよほど几帳面で、家計簿もしっかりと記帳している人でなければ、その動きをとらえることは難しいでしょう。
しかし、通帳の入出金履歴や、おおよその生活費が分かれば、おおよそ現金として残っていたであろう金額は把握できます。
急な出費がなければ、毎月の生活費は大体同じような金額になってくるので、その生活費と通帳の履歴から考えて、大体の金額をはじき出すことはできるのではないでしょうか。
また、収入の受け取り方法や過去の口座履歴などを確認することで、積み上げっているであろう手元の現金を予測することもできます。
税務調査の場合、税務署も事前に過去の申告資料は確認してきているはずです。口座の履歴も確認済かもしれません。そうすると、現金として手元にあるであろう金額も大体持っているはずです。
申告書に記載されている金額と税務署が把握している金額が大きな乖離があれば、その部分の説明を求められるでしょう。
税務署はすぐに追加の税金を取りたがると思っている方も多いですが、私が過去に経験した税務調査では、無傷で終わった調査や、珍しいですが還付になったケースもありました。
税務署は、筋の通っている説明があり、その上で妥当な金額が計上されている場合にまで、計上漏れを指摘はしてきません。計上漏れを証明することが税務署も出来ませんので。
いずれにせよ、現金があるのであれば絶対に隠そうとはせず、相続税の申告書には、家庭の状況に応じた妥当な金額をしっかり記載することをおすすめします。